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全国ご当地ラーメン

Gotouchi Raumen

佐野ラーメン

概要

人口:8.4万人/軒数:76軒

 名水百選の一つである弁天池の水を使い、青竹打ちの麺を前面に押し出して街興しとして全国にPRされたラーメン。最近では少なくなっているが、本来の手打ち麺は国内でもトップクラスの加水の高さと平打ちの形状の為、ひらひらするするというワンタンに近い食感の店もある。手打ち麺の包丁切りの食感を出す為、一本の麺に異なった番手の切り刃を使うなどの工夫もされている。スープは喜多方以上にあっさりした澄んだ醤油味が多いが、店によって様々なバリエーションもある。

切り歯 加水率(%) 一玉の分量(g) 形状 断面
14~16
手打ちの場合は
2~3mm
37~38
手打ちの場合は
45~50
160~200 ちぢれ 平打ち
スープ メインは鶏ガラで、豚骨や野菜を使う店もある。海産物も使われる場合があるが、いずれにしても煮立たせずにとった、澄んだあっさりした味。
ネギ、チャーシュー、メンマ、なるとなど。その他、海苔、若芽など。

地元の主な店: とかの・万里
首都圏の店 :昇龍軒八十番
ラー博出店 :なし

詳細

職人芸の青竹打ち。手作りを活かす銘水のキレ

 佐野といえぼ、佐野厄除け大師がすぐに思い浮かぶ。しかし近年では、佐野といえば佐野ラーメンが先に思い浮かぶ人も少なくないだろう。注目されはじめたのはここ十数年だが、その歴史は全国的にみてもかなり古い。ルーツを探ると、それは大正時代にさかのぼる。「エビス食堂」という洋食店に雇われていた中国人のコックが、青竹で打つ手打ち麺を出したのがはじまりだという。

加水率の高い太めの平打麺

 佐野ラーメンの強みは、麺の主成分である小麦粉の産地であること。その国産の小麦粉に、水とカン水を加え、よくかきまぜる。そして手のひらを使ってよくこねて出来上がったドウを、身の丈以上もある長くて太い青竹にまたがり、リズムに乗って前後に移動しながらのばしていく。

 均等の厚さに広がった麺帯をたたんでから包丁で切る。均一の太さに切るのは職人芸だが、それでも厚さや太さが多少まちまちになるところが、手づくりの良さである。そのまちまちな太さの麺がスープのからみや舌ざわりにアクセントを加え、独特の触感をつくり出している。加水率の高いなめらかな麺は、太めの平打麺で、ビラビラと唇で踊る感覚が特徴。水分が多いため、見た目よりもゆで上がりが早い。この技術が佐野市に広がり、手打麺を出す店が非常に多い。

 昭和初期から、人口5万人ぐらいの町に150軒を超えるラーメン店があったというから、ラーメン処としてのキャリアは博多や札幌をもしのぐものがある。

 昔から外食はもとより、訪問客に出前を取ってもてなすなど、ごちそうとして古くから愛されていた。元祖ラーメン処といっても過言ではないほどのラーメン文化を持っている。

街おこしのトップランナー

 佐野ラーメンの特徴が顕著なのは麺である。スープや具はオーソドックスで素朴なパターン。澄んだ醤油味スープが主流で、サラリと飲み干せ、キレのあるタイプ。チャーシュー、メンマ、なると、刻みネギのパターンも昔ながらである。

 ただし、サブメニューとして、シーフードやローストビーフを乗せるなどのアイデアメニューを取り入れている店も最近増えてきている。

 85,000人の人口に対し、200軒近くのラーメン店のある佐野市は、人口対ラーメン店数比率を、全国で喜多方市と一、二を争っている。昭和62年に喜多方ラーメン会発足に続き、昭和63年に佐野ラーメン会を発足するなど、観光名物としてのご当地ラーメンのステータスもいち早く築き上げている。

 東北自動車道にのれば、東京から佐野藤岡インターまで約一時間。インターをおりれば10分ぐらいで佐野に着いてしまう。意外なほど東京から近くに位置している。インターをおりなくても、上りの佐野サービスエリアで本格的な佐野ラーメンが味わえ、おみやげラーメンも用意されているなど、ラーメンの街としての意識は非常に高い。

水が育て水が進出をはばむ

 もう一つ、佐野ラーメンにとって忘れてはならない重要な素材は「水」である。佐野の水の源泉は環境庁認定の日本銘水官選にも名を連ねる出流原(いずるはら)弁天池。この銘水がラーメンのキレ味を増している。

 多加水麺の佐野ラーメンは水分が50%ぐらい。それをゆでるお湯はもちろん、スープにも水という素材が使われる。麺に水分が多く日持ちがしないのと、水質に違いがあるため同じ味が出せないということが、佐野ラーメンがある程度認知度の高いラーメン処であるにもかかわらず、東京でチェーン展開を図れない要因であると思う。

 東京からも気軽に行ける場所なので、東京にあまり進出せず、現地に来て食べてもらうというスタンスが、街おこしというスタンスからも賢明なありかたかもしれない。