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GOTOUCHI RAUMEN 全国ご当地ラーメン

札幌ラーメン

概要

人口:188万人/軒数:632軒

中華鍋でスープと共に炒めた野菜を、麺を入れた丼にかけて仕上げるのが札幌流。中太で歯ごたえのある縮れ麺は、モヤシなどの野菜に負けない力強さがある。味噌ラーメン発祥の地の為、味噌に力を入れる店が多いが、醤油、塩も揃える店が大部分。ラードを使う為こってりとパンチがあり、またボリュームも多めで一杯での満腹感はかなりのもの。

切り歯 加水率(%) 一玉の分量(g) 形状 断面
22 34~40 140~150 ちぢれ
スープ 豚骨、または豚骨+鶏ガラ主流でラードやニンニクの効いたパンチのある味。炒め野菜にスープをかけ味噌ダレを溶かす。最近は九州ばりの白湯スープをベースにする店も増えている。
ネギ、チャーシュー、メンマに、炒め野菜が加わる。蟹、海老、ホタテなどを載せた豪華版は、主として観光客がターゲット。

地元の主な店:来々軒、味の三平、純連、てつや
首都圏の店 :芳蘭、満龍、味源、一昇、おやじ
ラー博出店 :すみれ、爐

詳細

寒さが育てた濃厚なスープ

合理的な調理で高い完成度

 冬の寒さは札幌ラーメンの重要なスパイス。この寒さが、身体の芯から暖まる独特のラーメンを創出した。

 スープは表面をラードで覆い、冷めにくくしている。味は、ニンニクや野菜のエキスが利いた濃厚な物。味噌ラーメン発祥の地だけに、味噌を主力商品とする店が多い。  麺は中太で縮れている。加水率が33~38%と高く、熟成させるため、腰が強い。モヤシなどの野菜に負けない食感を持つ。黄色く透明感のある麺は、味噌スープの中で美しく泳ぐ。

 仕上げにモヤシ、野菜、挽肉などの具材を中華鍋で炒め、そこにスープを注ぐ。この方式も札幌ならでは。スープと具の一体感が増し、より熱々のラーメンとなる。ニンニクとモヤシを一緒に炒める事により、ニンニクの匂いをモヤシが吸収する。極めてロジカルな調理法である。このように、麺と具とスープがバランスを取り合って三位一体となり、一つの丼に収められている。この調理法が、札幌ラーメンの完成度をより一層高めている。

草分けは大正11年の塩味中華麺

 大正11年の札幌で、北大前に「竹家食堂」が開店した。経営者は大久昌治氏(故人)。その後コックとしてやってきた中国人王文彩(おうぶんさい)氏によって、「肉絲麺(ロースーミェン)というメニューが加えられた。豚のもも肉とネギを細切りにして上に載せた、塩味の中華麺であった。それが形を変え、具に焼き豚、メンマ、ネギが入るようになる。

 そしてその中華麺がラーメンと呼ばれるようになる。これが北海道ラーメンの起源。しかし現在「札幌ラーメン」と呼ばれている物は、それとは全くの別物になっている。

 味噌ラーメンの開発が札幌ラーメンに大きな変革をもたらした。札幌「味の三平」の大宮守人氏(故人)がその創設者である。アメリカの大手スープメーカー、マギー者の社長がリーダーズ・ダイジェスト誌に、日本の食文化について次のように記述した。

 「日本人は味噌という素晴らしいソースをもちながら、それを活用していない」

 元来味噌好きの大宮氏の頭から、その言葉が離れなかった。当時のサッチョン族(札幌の単身赴任者)から「豚汁に麺を入れて欲しい」との注文を受けたのを機に、味噌ラーメンの研究を始めた。

 常連客用にテストメニューとして昭和30年から開発を手がけ、昭和36年には正式にメニューに加えられた。これが、今ではラーメンの定番となっている味噌ラーメンの草分けである。

●北海道物産展の実演販売でも評判

 大宮守人氏が開発した味噌ラーメンは、あっと言う間に札幌中に広がり、人気商品となる。そして昭和40年、高島屋の北海道物産展で味噌ラーメンの実演販売が行われる。これが東京、大阪で大評判となり、味噌ラーメンをメニューとして取り入れる店も顔を出し始める。昭和42年には「札幌どさん子」一号店が両国にオープン。以後四年間で300店舗という驚異的なフランチャイズ展開を行う。続いて昭和43年にはサンヨー食品から「サッポロ一番みそラーメン」が発売される。これが大人気を呼び、未だ人気の衰えない超ロングセラーとなった。

 こうして「ラーメンの街札幌」「札幌味噌ラーメン」の名は、誕生から10年足らずの間に全国区に広がった。

 今では味噌ラーメンは押しも押されもせぬラーメンの定番メニューとなり、札幌ラーメンの名は海外にまで広がっている。

最近のトレンド

スープの見直しと旭川の台頭

 札幌の味噌ラーメンはどちらかと言うと、ラードのこってり感と味噌ダレの旨味が全体を牽引していたが、ここに来てスープを見直す流れが出てきている。スープそのものを九州系に近いこってりした白湯スープにする事で、全体的にまろやかで奥深い味わいとなる。「味源」の流れを組む「ばり屋」、さらにそこから出た「てつや」などがその代表格。

 強烈なスタイルのあるご当地の場合、それ以外のラーメンが受け入れられる素地がなかなか無いが、ここ数年、旭川ラーメンが札幌で人気を博している。主な流れは、旭川ラーメンの流れをくむ「山頭火スタイル」と「かとうラーメンスタイル」。押しの強い札幌ラーメンに対して、やわらかで奥深さのある旭川ラーメンが一定の支持を受けているのは興味深い。タレ重視からスープ重視の流れについても、この旭川ラーメンの影響があるのかもしれない。また、「SIG」や「支那そばや」のような、従来ほとんど無かったあっさり細麺の店も参入している。札幌は間違いなく東京に次ぐ大ラーメン処だが、数だけではなく質の点でも確実に進化してきている。