◎絆が紡いだ10年。気仙沼「かもめ食堂」

「かもめ食堂」は、2011年3月11日の東日本大震災をきっかけに復活したラーメン店です。
現･かもめ食堂店主の千葉憲二さんは、壊滅的な被害を受けた気仙沼で生まれ育ち、震災後すぐに炊き出しや物資支援に奔走しました。

その中で「復興に本当に必要なのは、希望や生きがいといった心の支援だ」と感じ、故郷の象徴でもあった「かもめ食堂」の復活を決意しました。

もともとの「かもめ食堂」は、昭和17年創業の老舗食堂で、地元の人々にとって"日常の味"でした。しかし2006年に後継者不在で閉店し、その店舗跡も震災の津波で流されてしまいました。千葉さんにとっても、生まれて初めてラーメンを食べた思い出の場所でした。

「かもめ食堂の復活は、平和な気仙沼の象徴になる」

その信念が千葉さんの原動力でした。
その想いに共鳴した新横浜ラーメン博物館の岩岡館長が、「まずはラー博で復活を」と提案。2012年2月、「気仙沼 かもめ食堂」は新横浜で再び羽ばたきました。

その後、千葉さんは"かつての賑わいを取り戻すには内湾地区こそふさわしい"と考え、2015年11月19日、ついに故郷・気仙沼での再オープンを実現しました。

かもめ食堂のプロジェクト詳細は下記のリンクをご参照ください。

https://note.com/ramenmuseum/n/n3f472701eac1

　

◎気仙沼と横浜をつなぐ物語

あの日から時を重ね、気仙沼に「かもめ食堂」が帰郷オープンしてから、今年（2025年11月19日）でちょうど10年の節目を迎えます。
その記念すべきタイミングに合わせ、店主・千葉さんは新たな一杯「辛味噌あんかけそば（サンマーメン）」を完成させました。

そしてこのラーメンは、2026年3月11日、気仙沼の地で特別に披露される予定です。

千葉さんの"故郷･気仙沼を再び元気にしたい"という想いは、誰よりも強いものでした。人口減少が進む中でも、大きな覚悟と投資をもって地元に「かもめ食堂」を立ち上げたのは、故郷への深い愛情があってこそです。

今回のラー博Limitedでは、首都圏の皆さまに改めて"気仙沼の魅力"や"震災の記憶とそこにある想い"を伝える場になればと願っています。

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★なぜ「サンマーメン（あんかけそば）」なのか？

千葉さんは気仙沼から大学進学を機に横浜へと移り住みました。
その時、初めて口にしたのが横浜のソウルフード「サンマーメン」でした。

とろみのある野菜あんと、あっさりとした醤油スープの調和に魅了され、学生時代の思い出の味として心に深く刻まれたといいます。

その原体験をもとに、千葉さんは「自分らしいサンマーメン」を追求しました。醤油が一般的な中で、あえて味噌をベースに選び、さらに辛味を加えることで、懐かしさの中にも新しさを感じる一杯に仕上げました。

その味はまさに、千葉さんが歩んできた"気仙沼と横浜をつなぐ物語"そのものです。
10年の節目に再び紡がれる「かもめ食堂」の挑戦。
その一杯には、震災から立ち上がり、地域と共に歩んできた"感謝"と"希望"の想いが込められています。

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◎ソウルフードを千葉さん流に再構築

今回「かもめ食堂」が披露するのは、横浜のソウルフードを千葉さん流に再構築した「辛味噌あんかけそば（サンマーメン）」です。
一般的にサンマーメンといえば、鶏ガラをベースにした醤油味のとろみスープが定番ですが、千葉さんはあえて"味噌"を選択。サンマーメンの枠を超えた、新しい味わいを追求しました。

スープは鶏と豚の清湯をベースに、味噌の香ばしさとまろやかさが広がる設計。「味噌味のサンマーメン」はこれまでほとんど存在せず、まさに唯一無二の挑戦です。辛さで刺激するのではなく、味噌がもたらす"深みと温かさ"で、食べる人の心を包み込みます。

麺はこの一杯のために特注された､やや縮れた中細麺（22番）。
とろみのある餡とスープがよく絡み、もちもちとした食感が味の一体感を生み出します。

具材には、もやし・きくらげ・豚肉・ねぎ・カイワレ・うずらの卵を使用。炒めた香ばしさと食感のリズムが、優しい味噌スープの中に立体感を添えます。

横浜で出会った青春の味「サンマーメン」を、気仙沼の地で自らの解釈で再構築した一杯。それが、かもめ食堂の「辛味噌あんかけそば」です。

◎出店情報

店舗名：ラー博Limited第7弾　気仙沼「かもめ食堂」
開催日：2025年11月22日（土）～24日（月）
場　所：新横浜ラーメン博物館 地下1階｢ラー博Limited｣（博多一双前）