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お知らせ 2025.08.11

「ラー博Limited ~挑戦と絆~」第2弾「大砲ラーメン」 呼び戻しチャンポン 2025年9月4日(木)~7日(日)

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2025年8月9日(土)よりスタートした「ラー博Limited ~挑戦と絆~」。
この企画では、当館に出店経験のある54の銘店を中心に、店主たちが"挑戦"と"絆"をテーマに、今この瞬間にしか味わえない渾身の一杯を披露します。

詳細はこちら
https://www.raumen.co.jp/information/news_001945.html


【ラー博Limited 第2弾】
55年ぶりに復活する"呼び戻しチャンポン"

第2弾は、とんこつラーメン発祥の地、久留米から「大砲ラーメン」が登場!
久留米と長崎、家族三代の"縁"が紡いだ幻の"呼び戻しチャンポン"が、55年の月日を経てこの度、復活します。
今回は物語風にコラムを書かせていただきます。


●久留米と長崎、緑(えにし)の物語

・灯りの下、甦る一杯
月明かりに照らされた通りの先に、やさしく揺れる燈り。その静かな光の下、一杯のチャンポンが湯気を立てていました。それは、かつて"幻のチャンポン"と呼ばれた、ある家族の記憶の味。

久留米と長崎。ふたつの土地と、ひと組の夫婦から始まった物語は、三代にわたる"縁"の連なりを経て、令和の今、再び呼び戻されました。
その名は「呼び戻しチャンポン」。約半世紀の時を越え、再び湯気の向こうに立ち上る、奇跡の一杯です。


・はじまりは一台の屋台から

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物語の始まりは、戦後間もない昭和20年代後半。
久留米出身の青年・香月昇(かつきのぼる)さんは、長崎出身の女性・喜子さんと出会い、やがて夫婦となりました。

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二人の人生を大きく動かしたのは、一杯のラーメン。昭和28年、夫婦は「大砲ラーメン」の屋号を掲げ、久留米市・明治通りで小さな屋台を開業します。
屋台には毎夜、空腹を抱えた人々が集まりました。香月さんのつくるラーメンは、豚骨の香りとまろやかなコクが際立ち、次第に評判を呼んでいきます。

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そして、昭和42年には屋台を閉じ、五穀神社前に店舗を構えることになりました。
その頃から、店のメニューにはラーメン以外の中華料理も並び始めます。そのひとつが、後に"幻"と呼ばれることになる、ある特別なチャンポンでした。

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・幻となった、呼び戻しチャンポン
当時のメニューには、ラーメンや焼き飯と並んで、ひときわ異彩を放つ一杯がありました。それが、香月昇さんが考案した"チャンポン"です。

このチャンポンの最大の特徴は、ラーメンにも使用されていた「呼び戻しスープ」を用いていたこと。
呼び戻しスープとは、釜の熟したスープの微妙な変化を感じ取りながら、別の釜で作った新しいスープを少しずつ継ぎ足すことにで、より深いコクと旨みを出すという技法で、初代 昇さんが試行錯誤の上で生み出した技法です。日を追うごとに旨味が重なっていくこのスープは、まさに"生きているスープ"とも言われており、現在まで大砲ラーメンの釜に継ぎ足されています。いわば煮込み時間が72年のスープです。
その芳醇なスープに、たっぷりの野菜と海鮮の旨味が重なり合う――まるで久留米の力強さと、長崎のやさしさが寄せ混ぜられたような一杯。昇さんのチャンポンは、まさに両地域の食文化を融合させたものでした。

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しかし、昇さんはある時期から「ラーメン一本で勝負したい」との想いを強く抱くようになります。
やがて「大砲ラーメン」はラーメン専門店へと舵を切り、昭和45年、チャンポンは惜しまれつつメニューから姿を消しました。

こうして、呼び戻しスープのチャンポンは"幻"となり、時の流れのなかで静かに記憶の中へと埋もれていったのです。


・忘れられぬ味、受け継がれる想い
呼び戻しスープで仕上げたチャンポンがメニューから消えても、その味を、子どもの頃から忘れずに胸に刻んでいた人物がいます。
二代目・香月均史(かつきひとし)さんです。

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少年時代、厨房の奥でふわりと立ちのぼる湯気に包まれながら、父・昇さんのつくるチャンポンを口に運んだあの記憶。それは単なる一杯の料理ではなく、家族と過ごした日々そのものでした。
やがて「大砲ラーメン」の二代目を継いだ均史さんは、店の伝統と味を守りながらも、心のどこかでこう願っていました。

――いつか、あのチャンポンをもう一度、世に出したい。

しかし、チャンポンはラーメンとは違う世界。専門店としての立場を守りながら復活させることは簡単ではありません。
それでもあの一杯の記憶が、ずっと彼の心に灯り続けていたのです。
その灯火は、次の世代へと引き継がれ、やがてふたたび燃え上がることになります。
"家族の味"として大切にされてきた幻のチャンポンが、三代目とともに再び呼び戻されることになるのです。


・令和の"呼び戻し"―「月と燈會」誕生
令和7年、ついにその時が訪れます。
香月家に受け継がれてきた"幻の味"が、約半世紀の時を超えて現代に呼び戻されました。

均史さんの心に灯り続けていた、父・昇さんのチャンポン。その味をもう一度世に届けたいという想いに呼応するように、三代目・香月望来(かつきみらい)さんが新たな一歩を踏み出します。

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その新たな挑戦の舞台となったのが、今回の「ラー博Limited」。首都圏における初のお披露目です。
そして今年の秋には福岡で呼び戻しチャンポンのお店として「月と燈會(ランタン)」という屋号でオープンするのです。

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この屋号には、偶然にも近年、初代と同様、長崎の女性と結婚した三代目の香月望来さんが考案したもので、久留米と長崎、くり返す"縁(えにし)"の物語が重ねられています。

55年ぶりに甦った「呼び戻しチャンポン」は、かつての記憶そのままに、呼び戻しスープの深いコクとまろやかさ、そして野菜や魚介の旨味が織りなす贅沢な一杯に仕上がりました。
「人」「土地」「食」そして三代にわたる想い――すべてを"チャンポン(寄せ混ぜ)"した唯一無二の味です。
そこには、久留米と長崎、そして家族の記憶をめぐる"縁"が、静かに息づいているのです。

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●55年ぶりに甦る「呼び戻しチャンポン」

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豚肉に、ぷりぷりの海老、やわらかなイカ。キャベツともやしの甘み、コーンのはじける食感、彩り豊かな長崎県産のかまぼこ。
これらの具材を中華鍋で香ばしく炒めることで、食材の旨味が一気に引き出されていきます。

そこに注がれるのが、「大砲ラーメン」自慢の呼び戻しスープです。
継ぎ足しながら時間をかけて育てる、いわば"生きたスープ"。幾層にも重なった豚骨の旨味と香りが、炒めた具材に絡み合い、ひとつに溶け合っていきます。一口飲めば、その奥行きとまろやかさに驚かされることでしょう。
麺には14番手の丸刃ストレート麺を使用。

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つるりと喉を滑り、もちっとしたコシがありながらも、スープとの一体感は抜群です。どこか懐かしく、それでいて今までにない新鮮さも感じさせてくれます。盛り付けられるのは、長崎・波佐見焼の窯元と共同開発した八角形のチャンポン丼。
どうぞ、湯気の向こうに広がる物語を味わってみてください。この「呼び出しチャンポン」がラー博で食べられるのはわずか4日間です!



店舗名:ラー博Limited第2弾 久留米「大砲ラーメン」
開催日:2025年9月4日(木)~7日(日)
場 所:新横浜ラーメン博物館 地下1階「ラー博Limited」(博多一双 前)

大砲ラーメンの歴史は下記リンクもご参照ください。

【あの銘店をもう一度】 第8弾 久留米「大砲ラーメン」
https://note.com/ramenmuseum/n/n04cc0b846389