現在地
  1. HOME
  2. ラーペディア
  3. 尾道ラーメン - 全国ご当地ラーメン

全国ご当地ラーメン

Gotouchi Raumen

尾道ラーメン

概要

人口:9.5万人/軒数:23軒

 尾道から福山までの広島県東部に広がるラーメンスタイル。鶏ガラで取った澄んだ醤油スープがベースだが、表面に浮く液状の脂と、背脂をミンチにした塊のせいでこってり感も結構強い。麺は中細ストレートで少加水。さらりとしてるが濃厚なスープを絡めすぎないが、一体感は充分。一般的な「尾道ラーメン」は瀬戸内の小魚のダシを加える為に独特の風味があるが、尾道最大の人気店朱華園は鶏ガラにごくわずかの豚骨をブレンドしたスープ。もともと「尾道ラーメン」というブランド名は、福山市のおみやげラーメンメーカーがおみやげラーメンにつけたもの。

切り歯 加水率(%) 一玉の分量(g) 形状 断面
16~18 25~32 120前後 ストレート 平打ち
スープ 濃い醤油色のついた澄んだスープが主流。背脂のミンチは関東豚骨の背脂チャッチャとは異なる食感と風味。鶏ガラがメインで小魚等の海産物を使う店も多い。
ネギ、チャーシュー、メンマなどのオーソドックスな物。

地元の主な店:朱華園、つたふじ
首都圏の店 :萬友、正ちゃん、麺一筋、めんくい(大阪)
ラー博出店 :ー

詳細

大粒の背脂がコクを添える
全国でも数少ない「偉大なオリジナル」

 尾道を代表する超々有名店の「朱華園」。ご当地ラーメンは、偉大なオリジナルの1軒から伝播していくケースは多いが、その影響力と現在まで続く人気という点では、白河の「とら食堂」、横浜の「吉村家」などに匹敵する店はそう多くはない。「朱華園」は、その数少ない一軒と言える。

 もともと、尾道には戦前から伝わる中華そば店が数軒あった。その発祥は未調査だが、昔から尾道に伝わる中華そばを研究改良して生まれたのが「朱華園」の中華そばである。創業者は朱阿俊氏。尾道は造船の街で、戦前戦中と、大陸から来た人々が大勢造船業に従事していた。戦後、造船業が衰えた中、中華そばの屋台を引く者が現れ始めた。朱阿俊氏も、そういう一人だったようだ。屋台の創業は昭和22年である。またその後、日本人による中華そば店も現れた。創業者は船員だったという「つたふじ」もまた、現在尾道を代表する一軒である。

「尾道ラーメン」の発祥

 現在、「尾道ラーメン」として普及しているラーメンは、「朱華園」「つたふじ」等の人気店のスタイルと、そのベースとなった戦前からの中華そばのスタイルから発生しているとされる。最初に「尾道ラーメン」というブランドを使ったのは、尾道の隣の福山市のお土産ラーメン業者。その為「朱華園」などでは「うちは中華そばであって、尾道ラーメンではない」とも断言する。また、スタンダードとなった尾道ラーメンスタイルが尾道の街に普及するのには、地元製麺所の尽力もあった。尾道で最大のシェアを誇る「はせべ製麺」の創業者、故長谷部氏は、製麺業の傍ら、新しくラーメン店を開こうとする人への味・経営両面でのコンサルタントやアドバイス、また開業後の麺やタレの提供など、地元ラーメンの活性化に非常に積極的だった。その甲斐あって、「尾道ラーメン」は中国地方ではもっとも有名なご当地として、全国的に認知されている。

 「尾道ラーメン」を、便宜上「オリジナル系」と「製麺所系」に大別してみる。

背脂ミンチが最大の特徴

 一般的に認知されている尾道ラーメンのスタイルは「製麺所系」の物だ。濃いめの醤油色の濁りの少ないスープに中細麺。具はオーソドックスな物だが、豚の背脂のミンチを浮かせる。このミンチは揚げてあったりネギの香りをつけたり、各店の工夫がこらされている。このミンチが、さっぱり目のスープに強烈なインパクトを加え、他の地域の「澄んだ醤油スープ」とは一線を画している。またダシには瀬戸内の小魚が使われている。

 これに対して「オリジナル系」は、その名の通り、まさにオリジナル。「朱華園」ではダシはトリガラがメインで豚骨はほんのわずか。「つたふじ」は、トリガラ、豚骨に魚を加えている。ただし、「濃いめの醤油色のスープに中細麺。スープには豚背脂ミンチが浮く」という基本形はいずれも一緒。このあたりに、戦前から存在したという尾道の中華そばの原型があるのかもしれない。いずれにしても、最大の有名店かつ人気店の「朱華園」そのものの味が、実は地元では必ずしも普及してはいないが、基本的なスタイルは一緒、という特殊な状態が、「尾道ラーメン」のスタイルをやや分かりにくくしているといえる。

広島県東部のスタンダードから全国区へ

 尾道ラーメンは、尾道市のみならず福山市、三次市など、広島県の東部に広く普及している。首都圏では恵比寿の「萬有」がかなり以前から提供していたが、1998年頃のご当地ラーメンブームに伴い、店舗数も増えてきている。ただし、旭川や和歌山ほどの大ブレイクには至っていない。大阪にも「朱華園」で修行し、麺の提供も受けている「めんくい」を始め何軒かの店舗があり、知名度とファン層は、確実に広がってきているといえるだろう。